今回はこれから投資を始めたい人向けに、どうやって投資を始める準備をすれば良いのか、考え方を順序立てて説明していきます。
単に「〇〇を買った方が良い」などの特定の商品の紹介の話題ではなく、投資を全くやったことがない人でもある程度リスクを抑えて始めるにはどのように考えれば良いか、これを読むと分かるようになるよう書いて見ましたので、是非参考にしてみてください。
1.投資資金を準備しよう
1.1.まずはいくらで始めたら良いの?
まずは、投資資金の元になるお金を準備する必要があります。最初はいくら用意すれば良いでしょうか。
日本株は単元株といって100株単位売買することが基本になります。例えば、株価が1,000円の場合、1単元株を購入するのに必要な金額は単純計算で
100,000円 = 1,000円 × 100株
必要です。ただし、単元株未満でも取引は可能です。(100株の時と比較して取引に多少の制限はありますが、問題にならないです。)
また、投資信託などは1万円程度でも始められる場合も多いです。そのためあまりハードルをあげて考える必要はありません。
ただ、あまりに少なすぎても効果が実感しにくいため、最低限の資金として10万円程度、なるべく50万円〜100万円程度を目安に頑張って貯めましょう。
1.2.どのくらいの利益を想定すればいいの?
ネットなどでよく「1年で1億稼いだ」とか、「資金が数倍になった」とかの情報を見かけることがありますが、それらは非常にまれな話と考えてください。
レバレッジやリスクの高い商品を購入しない場合の1年の利回りはおおよそ5%〜10%ぐらいを目安に考えると良いでしょう。(もちろんそれを上回る成績になることも下回ることも十分に考えられます)
そのため、投資したら一気に大金持ちになれるという考え方は捨てましょう。少しづつコツコツと運用していくことが重要です。
用意できる金額が多ければ多いほど投資で得られる利益も多くなり良い効果があります。50万円〜100万円を準備できた後も継続的に投資に回せるお金を貯めることは必要になります。
図1では年の利回り10%を想定した場合初期資金100万円と500万円で始めた時の20年後の資金の比較を示しています。(もちろん実際には毎年きちんと10%の利回りが得られるとは限りません)
始めた時は400万円だった差額が、20年後には2,400万円にも広がっていることがわかると思います。

1.3.家計(収支)を把握しよう
投資でうまくリターンを得るためには、保有している金融商品と現金の保有比率をうまくコントロールしてあげる必要があります。上級者になればなるほどこのコントロールが上手でシビアになります。
最初からプロのようにコントロールすることはできませんが、まずは自分自身の収入と支出を見える化して、年間でどのぐらいの費用を投資に回せるかが分かるようにしましょう。
図2では、家計を把握した上で、キャッシュフローを見える化した例を記載しています。
余剰資金50万円でスタートして、1年間の収支を考慮した結果、1年後の余剰資金は100万円の想定。そのうち8割を投資資金に当てると毎月つみたてられる金額は6万6千円になります。
図2の計算はあくまで例です。人それぞれの経済状況によって、どのくらいの金額が投資に回せるかは異なると思います。大切なのは、年間の収支と余剰資金は幾らかを把握した上で、投資に利用できる金額を把握することです。

家計簿をつけたり、どのような方法でやっても構いませんが、僕が実践しているやり方として別記事でマネーフォワードを利用した方法を紹介しています。興味のある人は是非ご覧ください。
2.投資の目的と方針を決めよう
資金が準備できたら次は、目的と投資の方針を考えましょう。
「投資したら一気に大金持ちになれるという考え方は捨てましょう。」と1章で述べました。少しづつ継続していくためには、なんのために投資を行うのか、そのためにはどうすれば良いのか、投資の目的と方針を定めることが非常に重要になります。
特に投資を初めて最初の頃は感情に流されやすく、間違った判断を下しやすいため、暴落局面などで落ち着いて、本来の目的を見据える必要があります。
2.1.投資の目的を決めよう
実際に投資をしていると、どうすれば良いのか判断に迷いが生まれる場面が出てきます。その際にこの目的と方針をしっかりと定めておけば、その場の行動をどうすべきか自然と判断できるようになります。
例えば、
- 老後に向けて資産を守りたいから、リスクを抑えて投資しよう
- まだ若いし少しリスクを取って資産を増やす投資をしよう
- 楽しみたいから少額で好きな会社の株を買ってみよう
などです。
ここで重要なことは、どの目的や方針がベストなのかを議論することではありません。ベストな選択肢はその人の家庭環境や資金状況、時期によって多様に変化するからです。人それぞれの目的があると思います。年齢や資金の状況によって目的や方針は結構変わりますので、定期的に見直しましょう。
著名な投資家がいろいろな手法や考え方を教えてくれています。それらは先人の知恵として非常に参考になるものですが、その方法が今後も通用するかは誰にもわかりません。
目的と選択肢を広くみて、どれが自分にあっているかを考えることが重要です。
2.2.ポートフォリオを考えよう
次にポートフォリオをどう組むかを考える必要があります。ポートフォリオと言うと難しく聞こえるかもしれませんが、最初から全てを頑張る必要はありません。
最初は資金も少ないので、何か良さそうなものに投資して、慣れてきたら徐々にポートフォリオを強化していけば良いと思います。
初心者はある程度分散をして投資が良いでしょう。ただし、分散と言っても様々な軸があり、分散投資を考える上で重要な観点を図3にまとめました。

ただただ色々なものを買えば良いというわけでもありません。効果的な分散投資はどうすれば達成できるのか自分なりに考える必要があります。
2.3.売買のタイミングを考えよう
ポートフォリオの他に、購入・売却のタイミングを考えることも大切です。図4には購入・売却のタイミングの例をまとめました。
最初は専門知識もあまりないし、初期投資資金が大量にあるわけでもなければつみたて購入していく戦略をおすすめします。(ドルコスト平均法とも呼ばれます)1.3 .で述べた家計の収支を見える化した後に、毎月いくら投資に回せるのかを検討しましょう。

2.4.どれから始めればいいの?
超初心者におすすめなのは圧倒的にロボアドです。なぜなら、最初の簡単な質問に答えてお金を入金すれば商品の分散、売買タイミングの分散、地域の分散を全てプロが自動で実施してくれるからです。誰でもできますし、利用者はただ毎月眺めていれば良いのです。
ただしデメリットとして、
- 運用手数料がやや高め
- 購入する商品は自分では選べない
- NISAやつみたてNISAを利用できない(後述)
などが挙げられます。最初はロボアドを利用して、プロの運用を見て勉強しつつ、自分で運用したくなったら投資信託や、ETFなどを自分自身で選んで購入していくのが良いかと思います。
もちろん最初からお目当ての商品があるのであればそちらを購入すれば良いと思います。より詳しくはこちらの記事にまとめています。
3.証券会社に口座を作ろう
考える前にまずは行動です。2章、3章の内容は最初から完璧なものはできませんし、経済状況などによって状況は毎月、毎年変化します。
悩んでいてもしょうがないのである程度のところで投資を開始してしまいましょう。まずは証券会社や投資信託などに口座を作る必要があります。口座を作るだけなら身分証さえあれば、お金もかかりませんしリスクも一切ありません。
下記は代表的なネット証券会社の例です。証券会社によって色々と特徴がありますが、最初のうちは細かい機能があっても使いこなせないと思いますので、取引手数料が安い会社や倒産などのリスクが低い大手の会社を選びましょう。ロボアドバイザーであれば、WealthNaviがおすすめです。
証券会社 | シェア | 投資信託数 | 外国株 |
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SBI証券 | 570万1,000口座(1位) | 2637本 | 米国、中国、 韓国、ロシア |
特徴 | |||
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楽天証券 | 440万2,247口座(2位) | 2678本 | 米国、中国 、アセアン |
特徴 | |||
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マネックス証券 |
187万2,069口座(3位) | 1,164本 | 米国、中国 |
特徴 |
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松井証券 | 187万2,069口座(4位) | 1258本 | ー |
特徴 | |||
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4.購入する具体的な金融商品を決めよう
次に購入する、前の章で検討した投資の方針を元に、どの運用会社のどの商品を購入するかを具体的な金融商品を決めましょう。例えば下記などに注目する必要があります。
4.1.投資信託やETF
- アクティブファンドかインデックスファンドか
- 目標としている運用水準は何か
- 設定以来のリターンはどの程度か、低すぎないか
- どのくらいの期間の運用実績があるか、時価総額が低すぎないか
- レバレッジ商品かどうか
- 信託報酬は高すぎないか
4.2.個別銘柄株式
- 今後も成長が期待できるか
- ビジネスモデルは優れているか
- 現在の株価は高すぎないか
5.お得な制度が利用できているかをチェックしよう
投資をするにあたり、税金が控除される制度がいくつかあります。利用すると非常にお得ですので利用していない場合は利用しましょう。
5.1.NISA or つみたてNISA
5.2.確定拠出年金 or iDeCo
確定拠出年金(DC)or iDeCoは年金として資産運用することで、税金を控除できる制度です。制度利用の目的が「年金」であるため、NISAと違って常時お金を引き出せるわけではなく、原則65歳までお金を引き出せないという制約はありますが、長期間のつみたてに最適でうまく活用すると非常に有用な制度です。
確定拠出年金は企業が制度として持っているものですので、ご自身の勤めている会社の制度としてあるかどうか確認しましょう。
自営業の方や確定拠出年金制度のない企業に勤めている場合はiDeCoが利用できます。
6.少額からスタートしよう
もし不安であれば、始めて1年ぐらいは少額からスタートしてみましょう。しばらく運用していると、買い方のコツなどがわかってくるはずです。
最近では投資のシミュレーションのアプリなどもありますが、シミュレーションと実際自分のお金を扱うことは違います。実際に自分のお金が増える、減るとなると感情が入ります。それに流されずに当初の目的や、運用ルールに基づいて取引できるかが非常に重要だと思います。
また、SNSなどを中心に世の中には「〇〇を買えば儲かる」ような話が飛び交っています。その話が本当の場合もあるのですが、投資は自己責任ですので、その話を鵜呑みにせず、自分自身で判断できるようになることが重要だと思います。
7.運用の振り返りをやろう
しばらく運用を続けた後に、運用の振り返りをやりましょう。市場のトレンドも常に変わり続けますし、新しい金融商品なども数年でどんどんでてきます。自分の運用はどうだったか、どのような知識が足りていないのかを振り返り、次の年の運用を改善することは有意義です。
特に最近ではコロナウイルスの影響で、ビジネス環境が大きく変化しました。今まで有利だった業種や業界の株価が伸びにくくなったり、逆に強くなった銘柄など大きなトレンドの変化も今後でてくると思います。こうした変化を自分自身で分析できるようになる必要があります。
分析する方法として、大きく分けて2つのアプローチがありますので、下記で簡単に紹介します。
7.1.世界の経済に関する知識をつけよう
株価の上下の動きは色々な状況に左右されます。最近の大きな話題だと
- コロナウィルスによるビジネス環境の変化、失業率
- 中央銀行の金利政策(米国FRB、日本銀行など)
- 米国、中国貿易戦争
- 米国大統領選挙
などが挙げられます。また、個別株に投資する場合は企業の成長性を見極めることができるようになる必要があるので、決算書や中期経営計画などを読めるようになる必要があります。
こう言った「実経済の動き」や「企業の本質的な価値」に注目して投資する銘柄を分析することをファンダメンタルズ分析と言います。
7.2.チャートを読めるようになろう
一方で、金融商品の価格や売買高などの需給や、投資家の行動パターンに注目してチャートの動きによって投資する銘柄を分析することをテクニカル分析と言います。
チャートを分析することで、投資家が「買われ過ぎ」と思っているのか、あるいは「売られ過ぎ」と思っているのかをある程度判断することができます。
チャート分析を調べるとものすごくたくさんのものがでてきますが、代表的なチャート分析のパターンとして
- トレンドライン・移動平均線
- 底値圏のパターン(ダブルボトム・逆三尊)
- 天井圏のパターン(ダブルトップ・三尊)
- MACD
など基本的な特性は覚える必要があります。
8.まとめ
今回は、投資を始める際にどのように考えていけば良いのか紹介していきました。始めたいけどまずはどうすれば良いのか分からないと思っている方は是非参考にしてみてください。